平成21年3月31日

国会報告(第一号)

第一号は、「民主党小沢代表の公設秘書の起訴」について、お話をしたいと思います。

3月24日、東京地検は、小沢代表の公設秘書、兼会計責任者である大久保氏を東京地検に政治資金規正法違反で起訴しました。 公訴事実の具体的内容は、「真実は西松建設から3500万円の寄附を受けたにもかかわらず、収支報告書には、ダミー団体である『新政研』及び『未来研』から同額の寄附を受けたと、虚偽の記入をした」というものです。


<小沢代表は説明責任を果たせ>

 政治家に不祥事があった場合に問われるのは、法的責任だけではありません。それ以上に政治的道義的責任が問われます。しかも、小沢代表は、野党第一党の党首でもあり、万一政権交代があった  場合には、首相にもなり得る立場の方です。その責任は極めて重いと言わなくてはなりません。
 しかし、24日の小沢氏の記者会見では「秘書の起訴理由は、  収支報告書の記載の仕方の問題とされている。献金を受けた事実はそのまま報告しているし、献金を頂いた相手方をそのまま記載するのが法の趣旨と理解している」と述べるにとどまり、疑惑の解明  とはほど遠いものと言わざるを得ません。以下、小沢会見の問題点について、意見を述べてみたいと思います。

@ 小沢氏は、検察が、西松建設のダミーと認定した政治団体に  ついては、その正体を知る由もなかったと主張して来ました。  しかし、この話はとても信じられません。3500万円もの大金をダミーの団体を通じて小沢氏に献金をした西松建設は、善良な “足長おじさん”ではないのです。西松建設としては、ダミーの団体名を使っているものの、3500万円を献金したのは「西松建設なんだ」という事を小沢氏に知ってもらわなければ、何のメリットもないのです。
 この事は、地検が立証するに足る証拠を持っているかどうか 不明ですが、社会常識としては、自明の理です。

A 仮に百歩譲って、小沢氏の言うとおりであったとしても、小沢氏は、なぜ素性も知らない団体から3500万円もの巨額の献金をもらい続てきたのでしょうか(3年間で3500万円)。この巨額の献金を続けてくれる団体は、どんな団体なんだろうか、自分と  どんな関係があるんだろうか、献金を受けても良い団体なんだろうか・・・と疑問を感じなかったのでしょうか。


B 西松建設側は、小沢氏が東北地方の公共事業の受注に強い影響力を持っていたので、献金をしてきたと述べています。西松建設と小沢氏の関係、西松建設の献金の経緯、西松建設が小沢氏に  期待をした影響力とは何か等について、全く説明はありませんでした。

C 小沢氏は、「この種の問題で逮捕、強制捜査、起訴という事例は記憶にない」と述べていますが、これは勉強不足です。
 政治資金規正法の虚偽記載罪で逮捕・強制捜査、起訴となったケースは多くあります。例えば、坂井隆憲元衆議院議員、仲村  正治元衆議院議員の秘書、土屋義彦前埼玉県知事の長女のケースなどが挙げられ、何も小沢氏に限ったことではありません。

D 「秘書の起訴理由は、収支報告書の記載の仕方の問題」との  説明ぶりには、この事件を帳簿の誤記程度に矮小化したいとの 意図が透けて見えます。
 この事件は、帳簿の書き間違えではないのです。西松建設と  いう献金者を国民の目から隠すために、意図的に収支報告書の 記載を偽装した悪質な事案です。
 従って、懲罰も禁錮5年又は罰金100万円という政治資金規正法では最も重い類型に属しているのであって、決して微罪では ないのです。



<国策捜査か否か>

 法律と証拠に照らし、犯罪があれば捜査をし立件する、これが  検察の本質です。そこに、時の政権による政治的意図が入る余地はありません。小沢氏は、大久保秘書の逮捕、強制捜査の段階から、 「総選挙が取り沙汰される時期に、政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だ」と強く検察を非難しています。
 しかし、「5年以下の禁錮又は百万円以下の罰金」という、政治  資金規正法上、最も刑罰の重い犯罪行為が現存するのであれば、  検察は動いて当然です。むしろ「総選挙が取り沙汰されている時期」  だから捜査に着手しないというのであれば、かえって「政治的にも法律的にも不公正な国家権力の行使」になってしまいます。
 小沢氏の検察批判は、自らの説明責任を果たすことなく、一方的・感情的に検察を非難することによって、論点を他に転嫁しようと するものです。
 歴史的に見ても、日本の検察は総理大臣すらも逮捕してきたのです。政権の意図が捜査機関に及ばない何よりの証左だと思います。



<民主党は変質したのか>

 3月24日、小沢氏は民主党代表の続投を表明し、同党の役員会でも、小沢代表の代表続投が了承されたそうです。
 民主党はこれまで政官業の癒着を断ち切り、クリーンな政治を 標榜し、政治家の不正、政治とカネの問題には厳しく追求してきました。また、鳩山、岡田代表の時代には、公共事業受注業者からの政治献金もマニフェストで禁止していたはずです。
 今回の西松建設の巨額献金事件では、小沢代表とゼネコンをめぐって政官業の癒着が問題になり、西松建設からの政治献金は、公共事業受注業者からの献金そのものです。
 小沢氏は「民主党の代表にふさわしくない」と、どうして誰も  声を挙げる者がいないのでしょうか。民主党は変わってしまったのでしょうか。私は、かつての自由で明るく爽やかな民主党であって  ほしいと思っています。



<政治とカネについて>

 西松建設の巨額献金問題を契機に政治と金の問題が大きくクローズアップされました。
 小沢代表は、最近になって唐突に企業団体献金の全面禁止を打ち出したようですが、もともと同氏は企業団体献金の禁止には消極的でした(このことは、鳩山、菅、岡田代表時代の民主党のマニフェストでは、企業団体献金の禁止が明記されていたのですが、小沢氏が代表に就任した以降のマニフェストでは、「企業団体献金の禁止」が削除されていることからも明白です)。更に小沢代表は、長年ゼネコンなどの企業団体献金の中にどっぷりと浸かり、そのお金で都心などに12箇所の不動産を購入し、10億円以上もの資産形成をしたことは、周知の事実です。私は、そんな小沢氏に、今さら企業団体献金の禁止などと言ってもらいたくないし、また、その資格もないと思っています。
 私は、政治家が特定の企業や団体のヒモ付きであってはならないし、また、国民に疑われてもいけないと考えています。
 現在の政治資金規正法では、政治家個人に対する企業団体献金は禁止されていますが、政党や政党支部に対する企業団体献金は禁止されていません。従って、例えばAという政治家は、A個人としては企業や団体から政治献金を受けることは出来ませんが、政党支部の支部長(○○党○○支部)としてのAであれば、企業・団体からの政治献金を受けても良いということになっています。この事は、国民には分かりにくく、又、乱用の危険性もあります。
 私見ではありますが、この際、政党支部に対する企業団体献金を全面的に禁止にしたらどうかと提案をしたいと思います。
 公明党の連立10年は、まさに、この政治とカネとの闘いでした。
@政治家個人に対する企業団体献金の禁止、Aあっせん利得処罰法の制定、B官製談合防止法の制定、C収支報告等に一円以上の領収証の添付の義務付け。
 私は、これらの作業に全てかかわって来ましたが、友党の自民党には、よくぞここまで譲歩してくれたと、大変に感謝をしています。
 政治が国民の信頼を得るためには、まず政治家がクリーンでなくてはなりません。
 私達公明党は、今後ともクリーンな政治を目指して頑張って参ります。


                          公明党国会対策委員長
              衆議院議員