〇 「決して驕ることなく、真摯な政治を貫くことによって結果を積み重ね、国民の本当の信頼を取り戻さなくてはならない」。
2012年12月に政権を奪還し再び政権を担当する際に、自由民主党と公明党が交わした連立政権合意の一節です。2009年に政権を失った深い反省から記述されたものであって、その精神は、現岸田内閣における連立政権合意でも「我々は、一層気を引き締めて、国民の声を聞き、謙虚な姿勢で真摯な政権運営に努めていかなければならない」と記載され、安倍内閣から菅内閣、岸田内閣へと厳然として引き継がれています。
現在国会は、自民党派閥による政治資金パーティーを悪用した裏金事件(政治資金規正法違反事件)で大揺れです。衆参両院の政倫審を「知らぬ、存ぜぬ」で押し切った自民党派閥幹部の対応は、一層自民党に対する政治不信を深めました。自公連立政権は、2012年の政権奪還以来、最大の危機を迎えています。自公連立政権が、国民の信頼を取り戻すためには、今こそ連立の原点に立ち返らなければなりません。
公明党は、2024年を「令和の政治改革元年」と銘打ち、その一環として「政治資金規正法の改正」を提案しています。是非とも、今国会での成立を図りたいと思います。
〇 公明党提案の「政治資金規正法の改正案」について
<改正案のポイント>
@ 政治資金の収入と支出をより明確化する透明性の強化
A 抑止力を高める罰則の強化
<透明性の強化>
@ 政治資金パーティーの支払者の氏名の公表
・政治資金パーティー券の購入について、支払者の氏名の公開基準を20万円超から、5万円超に引き下げること。
A 政治資金パーティーの入金方法の厳格化
・政治資金パーティーの入金方法について、現金による入金は不可として、口座振り込みとすること。
B 「政策活動費」の使途公開の義務付け
・議員が政党から受けた政策活動費の使途公開を義務付けること。
・政治団体の収支は、政治資金収支報告書に記載することになっていますが、政党から議員に支出される「政策活動費」は使途の公表義務がありません。従って、この「闇から闇」の資金の流れは、「裏金の温床」との批判がなされています。
・2022年の各党の「政策活動費」の実態は、*註の通りです。
C 国会議員関係政治団体の収支報告書のデジタル化
・国会議員関係政治団体の収支報告書について、多くの国民が監視できるようにデジタル化を促進する。
そのため、会計帳簿・収支報告書作成ソフトの利用環境改善を行うと共に、誰もが監視できるよう、データベース化を図ること。また、収支報告書のオンライン提出を容易にするための環境整備を行うこと。
D 政治資金を監督する独立した第三者機関の設置
・政治資金を監督する独立した第三者機関の設置を検討すること。
<罰則の強化>
E 連座制の強化
・国会議員関係政治団体の収支報告書について、
(1) 代表者が適法に作成されている旨の確認書を提出すること、
(2) そのうえで、虚偽記載等があった場合において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の「選任」又は「監督」のいずれか一方について相当の注意を怠ったときは、罰金刑に処すること。
・なお、現行法では、虚偽記載等があった場合において「政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは」罰金刑に処すると記載されています。
(*註) 総務省が昨年11月24日に公表した22年の各政党の報告書によると、党から所属国会議員に渡された金額は、自民党14億1630万円、立憲民主党1億円、国民民主党6800万円、社民党700万円、日本維新の会は政党支部から5057万円を支出していた。公明党、共産党、れいわ新選組、政治家女子48党、参政党には該当する支出が無かった(朝日新聞デジタルより)。
以上
令和6年3月20日
元公明党国会対策委員長 漆原 良夫