令和5年10月20日
【令和5年第5弾
 
臨時国会始まる

 

                 記

<臨時国会始まる>

本日、臨時国会が召集されました。“解散”の二文字が脳裏をよぎります。万全の態勢で臨みたいと思います。
長引く物価高騰が、国民生活を圧迫しています。政府・与党は、物価高騰対策及び経済対策を講じ、1日も早い補正予算の成立を望みます。

<麻生副総裁、公明党幹部「がん」発言>
〇麻生副総裁は福岡での講演で、敵基地への攻撃能力の保有について、「公明党は専守防衛に反するとして賛成しなかった」、そして賛成しない人達として山口代表、石井幹事長、北側副代表の名をあげ「一番動かなかった“がん”だった」と発言しました。全く無礼で下品!言語道断の発言です。

〇「専守防衛に反するとして賛成しなかった」との麻生氏の批判は、正に平和の党・公明党の面目躍如です!
・「専守防衛」とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限に限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢(防衛白書)のことです。
・専守防衛は、憲法の平和主義に立脚した日本の国是です。
・だからこそ、「敵基地反撃能力の保有」については、歴代内閣は(麻生総理も、安倍総理も)手を付けなかったのです。
・今回岸田内閣は、これに手を付けようというのですから、一歩踏みとどまって考えることは当然であり、平和の党たる公明党の責務と考えます。それでこそ平和の党、公明党の面目躍如!と拍手喝采です。
・今回の対応で我が党の理解者が増えたと思います。95歳になられる小学校の恩師から葉書を頂きました。
「麻生副総裁が福岡での講演で、敵基地攻撃能力を含む安保関連文書の対応をめぐり、公明代表らを名指しで、『一番動かなかったガンだった』と、またバカなことを言い出しました。」から始まり「戦争をさせない”を厳守し続ける公明党に大きな拍手を送りたいと思います」と結んでおられました。

<統一教会問題>
〇10月13日、東京地方裁判所に解散命令請求が提出。

〇教団の財産保全問題
統一教会には、現在1000億円以上の財産があると言われています。解散命令が出るまでには数年かかります。裁判中に財産を韓国に移転してしまい、解散命令が出ても被害者に配る財産が存在しないことが懸念されます。
被害者救済のために教団の財産を保全し、財産の散逸を防ぐ措置を講ずる必要があります。

〇維新案・立憲案と批判
・維新は、解散命令請求の裁判提訴時に、財産保全処分を義務付ける宗教法人法の改正案を臨時国会の冒頭に提出する。
・立憲は、財産保全の特別措置法案(統一教会だけを対象)を臨時国会に提出する。

・維新案に対する批判→裁判所で解散の判断がなされる前に(訴えを起こされた段階で)宗教法人の財産処分を制限することは、宗教活動を直接制限することになるため、憲法で保障された財産権の自由(憲法第29条)、信教の自由(憲法第20条)を侵害することになります。
・立憲案に対する批判→特定の宗教法人に対する解散請求がされてから、その宗教法人の財産保全について立法措置を講ずるのは、明らかに“狙い撃ち”となり、信教の自由を定めた憲法第20条に違反することになります。

〇永岡文部科学大臣の答弁
・「宗教法人法の解散命令の請求は所轄庁、利害関係人等ができることとされておりまして、利害関係人には宗教法人に対して債権を有していない信者を含むということは考えられております。こうした宗教法人の解散の制度の特性を踏まえますと、解散命令の請求が行われ、それが確定していない段階で財産の保全を求めることが出来る制度とすることは、宗教活動に対し過度の制限をかけることになりかねません。また、現行の宗教法人法の前身であります宗教法人令に対しましても、これは導入されていなかったということでございます。従いまして、旧統一教会の問題への対応といたしまして、宗教法人法に解散命令請求時の財産保全の制度を導入することは考えておりません」(衆議院文部科学委員会における大臣答弁)。

〇結論・・統一教会の財産保全は、宗教法人法の改正や特別措置法といった特段の法的措置を講じなくとも、現行法の民事保全法により十分対応が可能です。

・保全しなければならない債権があれば(例えば、不法行為による損害賠償請求権、給与支払い請求権、子供の養育費請求権、離婚の慰謝料請求権、不動産の返還請求権など)、現在でも民事保全法による仮処分命令、仮差押え命令によって保全されています。

・ただ、裁判所が保全命令を発令する場合には、担保を立てることを要求されます。被害額が高額になる場合には、訴訟費用や担保金も高額になり被害者の負担になることが容易に想定されます。

・そこで、被害者救済という観点から、法テラスの運用を見直し、「訴訟費用、命令に必要な担保金等を支援する」という方法が考えられます。被害者救済という観点から、最も直接的かつ簡便な方法と考えます。                   

・教団財産の保全の実効性を担保するためには、迅速性と秘密性が要求されます。それは、相手方が財産を処分する前に処分権を封じてしまうことが必要だからです。
 相手方の知らないうちに処分権を封じる方法は、現行の民事保全処分しかありません。教団財産の仮差押え、仮処分によって、明日にでも教団財産の保全が出来ます。国会で、「保全処分をやるぞ、やるぞ!」と議論しているうちに財産を処分されてしまったら終わりです。そもそも、教団財産の処分を禁じる法案を国会に提出したと宣伝すること自体、教団に処分の機会を与えることに成りかねません。

・現行の民事保全法こそが最も確実に財産を保全する方法です。

以上

令和5年10月20日

元公明党国会対策委員長
 弁護士 漆原 良夫